第11回(平成25年度)児童・生徒科学賞受賞校概要

○小学校の部 甲府市立里垣小学校 「学校林活動」

受賞者(甲府市立里垣小学校)の写真

 学校林は、1952年(昭和27年)5月に設置された。当初の目的は学校の基本財産だったが、2001年(平成13年)7月10日、50年の契約期間終了を迎えるにあたり、新たに30年の契約延長を認められ、児童の自然体験学習の場として活用できるように整備された。
 2002年度(平成14年度)から、総合的な学習の時間の中で「体験的な学習」を通して、児童に「生きる力」を育成していくことになった。
 2005年(平成17年)1月、隣接する坂垣山国有林と合わせて、7.20haを「里垣小学校 遊々の森」として、森林環境教育を継続的に進めていくための場所として設定していただいた。
 「学校林活動を通じて森に親しむ」ことを基本目標に活動している。この活動を通じて、森林に触れ、森林を知り、森林を大切に思う心を育てていくことをめざしている。
 具体的な活動は、次のとおりである。

  1. 学校林の説明を受け、学校林の散策、植樹体験などをする。
  2. 外部講師による植物観察、植物採集及び押し花標本づくりをする。
  3. 外部講師によるカードの絵やヒントを使った樹木探し等のネイチャーゲームを通して、秋の自然を体感する。
  4. ヒノキの伐採体験をする。立木を切るのは外部講師に協力してもらい、枝打ち等細かい作業をノコギリで体験する。


○中学校の部 (該当なし)


○高等学校の部 山梨県立韮崎工業高等学校 エコカー部
 「省エネカーの研究と製作」

受賞者(韮崎工業高校)の写真

 50ccのホンダ・スーパーカブのエンジンと、自転車の部品を使用して1人乗りの自動車を作成し、燃費を向上させるための研究を行っている。エンジンの効率を上げることと、車体の走行抵抗を低減させる工夫を毎年積み重ねて、燃費競技ではガソリン1リットルあたり最高1183qの記録を残すことができた。
最初は人が乗って動くようにするだけでも大変な作業であったが、少しずつ信頼性を上げて、車両性能も向上させている。県内の他の工業高校も同様な取り組みを行っているが、近年は本校が最高記録を牽引する役割を負っている。車両の製作には、大胆な発想と緻密な加工技術が必要であり、省エネカーに関わった生徒達は、県内の製造業に就職し高い評価を受けている。エンジンは不要な部品を取り外して独自の加工を行い、駆動部分はオリジナルで作成した、車体は溶接で作成し剛性を重視したシンプルかつ精度の高いフレームを目指して毎年少しずつ進歩している。フレーム作成に関わった生徒の1人は、第1回関東甲信越の高校生溶接協議会で2位になった。
 課題研究(システム科と電子機械科の3年生)の授業で1台、エコカー部で1台を作成し、校内でもお互いに競い合うことによって記録を伸ばしてきた。特に課題研究の車両は、4年前に初完走して以来順調に記録を伸ばし、昨年はエコカー部の車両とほぼ同等な記録を残すほど成長した。
 今後は電動自動車の研究も併せて行い、技術の向上に努めていきたい。



○私立学校の部 山梨英和中学校・高等学校 自然科学同好会
 「ササラダニによる山梨県甲府市愛宕山の森の環境評価(他1件)」

受賞者(山梨英和中学校・高校)の写真

「ササラダニによる山梨県甲府市愛宕山の森の環境評価」

 人間が愛宕山の自然に与える影響について、指標動物としてササラダニの生息状況を定量調査することによって分析し研究した。その結果、愛宕山の森は二次林の標準点に近い値を示した。ただし、調査地点のうち、頂上付近の公園近くの森林は評点が最も低く、標高の低い、自動車道から最も遠い地点の評点が最も高く、自然度が高いと判断できた。


「太陽熱を利用した廃食油からのバイオディーゼル燃料生産」

 廃食油からのバイオディーゼル燃料(以下BDF)製造におけるメチルエステル化反応の熱源に注目した。環境負荷を低減するために、BDF生成の際に必要な熱量を太陽エネルギーでまかなうことを考え、ソーラークッカーによる実験方法・装置の開発研究を試みた。その結果、BDFのメチルエステル反応転化率は90〜95%であり、最終的に得られたBDFの純度はかなり高いと言える。